放射線への対応

原発事故後、この地に暮らし続けることを選択した方々には、
この仙台は限りなく不安な土地だと思います。
福島とは違い、行政がほとんどあてにならないからです。
これから放射線と付き合っていくことを余儀なくされてしまったからには、自力で身を守るしかありません。
少しでもましな暮らしができるよう、お手伝いします。

放射線への対応

  • ①埼玉のビオ・マーケットを通して入荷するポラン広場の有機野菜は、すべて放射線チェック済です。
    検出下限値は野菜によって異なり、1~20Bq/kgで下記HPに公表されています。
    ビオマルシェ=
    http://biomarche.jp/topics/radiation.html
  • ②西日本の生産物も、同様にして入荷しております。
  • ③きのこ類も、ポラン広場のものはすべて放射線チェック済です。
  • ④地元生産者の野菜に関しては、三田さんの野菜はすべて放射線チェック済。
    戸叶さんの野菜=一部の野菜については放射線検査測定済。有意なセシウムは不検出。
    あおぞら農園の野菜=一部の野菜については放射線検査測定済。有意なセシウムは不検出。
    佐藤重雄さんの野菜=一部の野菜については放射線検査測定済。有意なセシウムは不検出。

原発事故後の4月上旬フランスのアクロのHPに、宮城県村田町の小松菜から3000Bq/kg以上の放射性セシウムが検出されたと発表され驚きました。
今考えると3月15日に放射性物質がふりそそいだ小松菜をサンプリングし、洗わずに測定すればそんな値になるだろうことは理解できます。
しかし当時は枝野さんもNHKも「ただちに健康に影響のあるレベルじゃない」などとばかり言っていて、殆ど情報が統制されていたといってもいいほどで、 何がどうなってるのかも分かりませんでした。
そんななかで上記発表を知った三田さんは、東京大学理学部物理系研究室助手として勤務していた時の友人達からの報告をもとに、 この情報がいいかげんな情報でないことを確認すると、ほどなく野菜の出荷を全面自粛したのでした。
そして行政も動きそうになく、大学も意見が分かれるのをみて、自分たちで放射線を測定するしかないと考るに至りました。
そのころ同じような危機感を抱き始めた仙南の生産者の方8人で、「みんなの放射線測定室」の開設にむけた準備にとりかかりました。
みんなの放射線測定室=http://sokuteimiyagi.blog.fc2.com/
同測定室は2011年11月23日に開設され、三田さんは自分の野菜の放射線チェックをして、OKのものだけを出荷されております。

三田さんの野菜=すべて放射線検査測定をし有意なセシウムが検出されないものに限って出荷。
戸叶さんの野菜=一部の野菜については放射線検査測定済。有意なセシウムは不検出。
あおぞら農園の野菜=一部の野菜については放射線検査測定済。有意なセシウムは不検出。
佐藤重雄さんの野菜=一部の野菜については放射線検査測定済。有意なセシウムは不検出。

野菜と米とくだものと山菜

「みんなの放射線測定室」が開設されてから600検体ほど検査したそうです(2012.1時点)。
で、ある程度つかめてきた傾向としては、 野菜と米は大丈夫。くだものと山菜は危険。土壌は汚染されてても案外と野菜には移行しない印象です。
米もそんなには。 危ないのは梅だのくだものだの。そして山菜やキノコ。なんでそうなるのかまではまだはっきりとは分かってないみたいですが。
詳しくは測定室のHPに検査結果として掲載されてますからそちらをチェックしてみてください。

キノコ

ただ私が個人的に危ないんじゃないかと思うのは、放射線測定してないキノコ。たとえその産地が西日本のであっても。
キノコは原木栽培と菌床栽培と二種類あるのはご存知のとおりです。原木栽培の九州産シイタケの、原木の産地まで九州かどうかは分かりません。
以前は原木栽培キノコの原木は多くが東北が産地だと聞いていました。 菌床栽培の菌床はおがくずが大部分です。そのおがくずがどこの何の木から作られたかは分かりません。

キノコの産地と違っていても 表示に出ることはないでしょう。福島から遠いからとか建物の中で作るからとか、こうなると関係なくなっちゃいます。
だからこそ予断を捨てて、みんな測ってみるしかないと思うのです。

放射線のこわさ

放射線は遺伝子を傷つけると言われます。遺伝子は二重らせん構造で、この二重なうちは案外丈夫なんですってね。
危ないのが二重が一重になったとき、すなわち分裂したときで、だから盛んに分裂してる細胞が多い子供だの赤ちゃんだのが危ないわけです。
逆に年寄りは大丈夫なのはあんまり分裂してる細胞ないから。

放射線測定のむずかしさ

重さも長さも誰が量っても大きく変わることはありませんが、放射線はそうはいかないんだそうです。
例えば測定器がNaIシンチレーションサーベイメータでセシウム137を測るとすると、 セシウム137のいっこが壊変してγ線出したとして、それがNaI(ヨウ化ナトリウム)の結晶に当たってピカッと光ったのをカウントするんだけれど、 放出されたγ線のすべてがとらえられるわけじゃないからそれを統計処理して予測するという過程を通すし、自然界にも放射線は存在していて そのバックグラウンドを引き算しなければならないし、バックグラウンド自体ゆれるし。
だから測定値にエラー確率○○%と出てくるという。 そもそも放射性核種1個が改変したのが1Bqですから、呆れかえるほどの微量を測ることになります。
もし測定にどれだけ時間をかけてもいいなら 長い時間かければかけるほど測定精度は上がるんだけど、かといって1検体測るのに丸1日とかかけるのは実際問題無理でしょうから。

放射線測定
<色麻町産の栗>

2012.10.15

みんなの放射線測定室「てとてと」にて測定してきました。
1kgほどの栗の皮をむき(渋皮はつけたまま)4つ割にしました。大きい栗は8つ割に。
測定器はてとてとに導入されたばかりのEMF211。


<測定結果>

測定器         EMF211
試料重量        716g
計測時間        1800秒
セシウム137+134合計  18.93±2.68 [Bq/kg] 測定下限値       4.06 [Bq/kg]


さあこの数値をどう評価したらいいのでしょう。
国の基準は 100 [Bq/kg] ですから、はるかに下回ってはおります。
一方放射線被爆とその影響につてはしきい値(閾値)がないとも言われます。
微妙な数値ではあります。


とここまで書いてきて、続きがあるんです。 10.15てとてとでの測定の帰り道に三田さんの所に寄って、これこれこういう訳でこんな値が出ましたと話したんです。
そしたら三田さんに「うちでも測ってみたいから、その試料置いていってくれませんか。」と言われ試料をお預けしてきました。
三田さんはご自分の測定器で測ったけれど、スペクトルを見てどうももっと少なそうだと感じ、
もう一度てとてとに持って行かれ、今度はAT1320という別の測定器で測ってみたんですって。
その結果が下です。
また栗はミキサーでさらに細かく粉砕されました。


<2度目の測定結果>

2012.10.16
測定器         AT1320
試料重量        695g
計測時間  3600秒
セシウム137+134合計  13.1±5.64 [Bq/kg] 測定下限値       9.63 [Bq/kg]


この測定器では下限値が高いので、さらにもう一回EMF211で測り直したそうです。
それが以下。


<3度目の測定結果>

2012.10.17
測定器         EMF211
試料重量        788g
計測時間        3600秒
セシウム137+134合計  13.74±1.79 [Bq/kg] 測定下限値       2.60 [Bq/kg]


全く同一の試料を3回測定したことになります。
試料は1kg弱置いてきて、測るたびそこからマリネリ容器に詰めてますので、試料重量が異なってます。
計測時間は一回目が30分、2・3回目は各1時間です。

こうやってみますとこの栗は13[Bq/kg]くらいと考えるのが良さそうに思えます。
だとすれば随分印象は変わってきます。
「微妙」から「まあまあかな」というところまで。

やはり放射線の測定は一筋縄では行きませんね。