店主コラム
美味しい野菜とは
野菜を調味料の味で食べてませんか?カタチばかりの野菜は本来の味がしませんから、ドレッシングや味付けで食べるしかありません。
そうして食べた野菜はなにか物足りません。
満腹感はあっても満足感に欠けるからです。
人間の感覚は正直です。満足感が得られないとつい食べ過ぎてしまいます。
では、美味しい野菜とはなんでしょう?
まず旬の野菜であることは当然。そして農薬を使わないこと、これも同様ですね。
そしてたぶんそれ以上に味に関係するのは肥料。
化学肥料はもちろん、有機質の肥料であっても使い過ぎれば美味しい野菜はできません。
「必要最低限の肥料のもとで育った場合に野菜は最上の味になる」弊店の主力生産者である三田さんの栽培ポリシーです。
要は、おんば日傘で育った野菜より、寒空に裸足で走り回ってるような野菜の方が数段味がいいというイメージでしょうか。
無施肥栽培あるいは自然栽培
何年か前の冬、三田さんに「これ食べてみて」とほうれん草をもらいました。
真冬の露地でつくったほうれん草だから身も厚く、でも全体に小さく葉先は黄色にちぢれて、
どうかすると枯れているようにも見えて、まあそう言っちゃなんですが見栄えのしないほうれん草でした。
あまり期待もせずにお浸しにして、食べたらびっくり。
まるで味付けしたみたいに甘いんです、ただ茹でただけなのに。
三田さんにきけば、肥切れ(肥料切れ)のほうれん草なんですとおっしゃる。
あの味が目標なんだけれど、どうかすると全く育たないからなかなかできないんですと。
この時のほうれん草の味は強烈なインパクトがありました。
その後たまたま無肥料の野菜がほしいとおっしゃる方がお客様になって下さって
栗原の佐藤重雄さんや秋保の佐藤圭子さんをご紹介いただいて、
自然栽培の野菜を扱うようになったのでした。
いい野菜って?
りんごの木村秋則さんがよく言われる簡単な腐敗実験があります。
比較したい野菜をそれぞれ瓶に入れ温かいところに放置します。
するとドロドロに腐って溶けてしまう野菜と、腐らずしわしわにしぼんでしまう野菜に分かれます。
肥料が過多になった野菜は溶け、肥料を与えず育てられた野菜はしぼんだまま何日経っても変わりません。
肥料が少なくて育った野菜ってどれも同じようにしっかりしてます。
ヤワじゃない。そのくせ火の通りは早い。
色はやわらかなうす黄緑、どぎつさがない。
そしてむちゃくちゃ日持ちがいい。
野菜の味はつくり方によってまるで違います。
野菜を買うこととは、煎じ詰めればつくった人の時間を買うこと。
どんな人がどんなつくり方をしたものなのかに、無関心でなどいられません。
これまでの主な放射線測定結果
ND :その測定下限値において不検出の意味です。
不等号:下限値より小さい数値の場合付きます。数値は誤差が多く不確かな値とお考えください。
小数点以下も表示してありますが、計測器のソフト上示される単なる数字で、厳密な意味はないと思います。
下限値:このページでは検出濃度をセシウム137と134合計で表示しましたので、下限値もセシウム137+134合計で示しました。
表の作り方が下手ですみません。ご覧のディスプレイ表示で1行で収まらず折り返してしまう場合は、表示の文字を少し小さくしてご覧ください。
(敬称略)
測定月日 | 試料品目・生産者 | セシウム137+134合計[Bq/kg] | 測定下限値[Bq/kg] | 計測時間[秒] | 測定器・備考 |
2013.10.23 紅東・三田 3.07 1.38 7200 EMF211・蔵王町矢附(皮付)
2013.10.9 紅東・三田 ND 4.67 7200 AT1320・蔵王町(皮むき)
2013.10.3 人参・三田 ND 4.34 7200 AT1320・蔵王町林前
2013.9.30 葉大根・三田 ND 7.13 7200 AT1320・蔵王町下畑
2013.9.29 葉大根・三田 ND 3.48 7200 EMF211・蔵王町
2013.9.22 みょうが(晩生)・三田 ND 4.05 7200 AT1320・村田町関場
2013.9.22 落花生(さやごと)・三田 ND 6.8 7200 AT1320・蔵王町
2013.9.21 いんげん・三田 ND 3.24 7200 EMF211・蔵王町
2013.8.2 みょうが・三田 ND 7.82 6800 AT1320・村田町
2013.7.23 赤シソ・三田 ND 2.38 7200 EMF211・蔵王町
2013.7.12 トマト・三田 ND 4.73 5400 AT1320・ハウス
2013.7.12 ミニトマト・三田 ND 4.97 5400 AT1320・ハウス
2013.7.12 馬鈴薯・三田 ND 6.77 4800 AT1125・蔵王町
2013.7.12 キャベツ・三田 ND 3.65 7200 EMF211・蔵王町・ハウス
2013.7.12 ブロッコリ・三田 ND 5.80 3600 EMF211・蔵王町・ハウス
2013.7.11 自然栽培トマト・佐藤重雄 ND 1.89 3600 EMF211・栗原市・ハウス・無施肥
2013.7.11 自然栽培小ねぎ・佐藤重雄 ND 16.62(検体重量少ない為)1800 AT1320・栗原市・無施肥
2013.7.3 なす・三田 ND 6.45 3600 AT1320・蔵王町・露地
2013.6.21 きゅうり・三田 ND 6.19 3600 AT1320・露地
2013.6.17 セロリ・三田 ND 3.56 7200 EMF211・蔵王町・ハウス
2013.6.15 梅・三田 ND 5.93 3600 AT1320・村田町
2013.6.7 梅(白加賀)・三田 ND 2.52 3600 EMF211・蔵王町
2013.5 葉玉ねぎ・三田 ND 3.6 7200 EMF211
2013.5.7 トマト・福島わかば会 ND 2.1 1500 ゲルマニウム半導体検出器・福島県保健衛生協会
2013.5.7 ふき・三田 ND 2.24 3600 EMF211・村田町関場
2013.5.6 アスパラガス・戸叶 ND 3.27 3600 EMF211・色麻町
2013.5.4 竹の子・三田 5.36 2.97 3600 EMF211・村田町関場・4mm刻み
2013.4.19 かぶ・三田 ND 6.68 3600 AT1320・蔵王町・ハウス
2013.4.19 サラダ菜・三田 ND 4.74 3600 EMF211・蔵王町・ハウス
2013.4.19 うるい・三田 Cs134のみ検出1.93 Cs137はND 3.11 3600 EMF211・村田町・露地・展開前の芽
2013.4.5 白菜の花・三田 ND 6.28 3600 AT1320・蔵王町矢附
2013.4.4 壬生菜・三田 ND 5.44 3600 EMF211・蔵王町・ハウス
2013.3.25 きゅうり・福島わかば会 ND 2.5 1500 ゲルマニウム半導体検出器・福島県保健衛生協会
2013.3.21 葉付大根・佐藤重雄 ND 11.61 1800 EMF211・栗原市・ハウス・無施肥
2013.2.7 ほうれん草・佐藤重雄 ND 2.78 3600 EMF211・栗原市・ハウス・無施肥
2013.1.17 乾燥大根(干理想を1/14倍に乾燥) ND 6.73 5400 AT1320・蔵王町
2013.1.17 赤大豆・三田 ND 1.79 7200 EMF211・村田町
2012.11.17 味噌・弊店製(戸叶さん大豆) Cs137=5.15(Cs134=ND) 4.85 1800 AT1320
2012.11.17 玄米・渋谷学 ND 9.1 1800 AT1320・加美町・無施肥自然栽培
2012.11.10 粉砕乾燥蜂屋柿・三田 13.46(4.6倍濃縮) 4.09 7200 EMF211・村田町
2012.11.9 チンゲンサイ・佐藤重雄 ND 9.97 1800 AT1320・栗原市一迫・ハウス栽培
2012.11.9 ほうれん草・佐藤重雄 ND 11.94 1800 AT1320・栗原市一迫・ハウス栽培
2012.11.9 玄米・佐藤重雄 21.5 8.97 1800 AT1320・栗原市一迫・無施肥
2012.11.9 柿・佐藤重雄 11.5 10.18 1800 AT1320・栗原市一迫
2012.11.5 清内路南瓜(再)・三田 ND 2.7 14400 AT1125
2012.11.4 アスパラ菜・三田 ND 3.5 25200 AT1125
2012.10.30 春菊(前回同検体の冷凍保存)・三田 ND 5.37 5400 AT1320・
2012.10.30 里芋・三田 ND 9.74 1800 AT1320・蔵王町
2012.10.25 壬生菜・三田 ND 2.37 3600 EMF211・蔵王町
2012.10.25 こかぶ・三田 2.61 2.15 3600 EMF211・蔵王町河原下畑・露地
2012.10.25 小松菜・三田 ND 5.95 5000 AT1320・蔵王町河原下畑・露地
2012.10.25 白菜・三田 ND 7.22 3000 AT1320・蔵王町河原中畑
2012.10.20 蜂屋柿・三田 4.28 1.42 7200 EMF211
2012.11.10 乾燥さつまいも・三田 換算値で3.37 (下段の芋重量比2.76倍に乾燥し生芋換算) 4000 AT1320・蔵王町
2012.10.18 さつまいも再・三田 6.95 1.86 3600 EMF211・蔵王町
2012.10.18 さつまいも・三田 2.83 5.04 5000 AT1320・蔵王町
2012.10.17 色麻町産クリ・戸叶 13.74 2.6 3600 EMF211・再々測定
2012.10.16 青首大根・三田 ND 9.41 1800 AT1320・露地・蔵王町
2012.9.24 葉大根・三田 <8.3 約6 36888 AT1125・露地
2012.9.26 枝豆・三田 2.65 11.26 1800 AT1320・サヤごと粉砕・村田町
2012.9.24 葉大根・三田 <8.3 約6 36888(10時間強) AT1125・露地
2012.9.14 いんげん・三田 ND 9.58 1800 AT1320・蔵王町
2012.9.9 いんげん・三田 <5.2 約6 22250(6.1時間強) AT1125・露地
2012.8.26 まくわうり・三田 3.69 7.99 1800 AT1320・
2012.8.18 みょうが・三田 ND 9.75 1800 AT1320・露地
2012.8.18 オクラ・三田 ND 10.29 1800 AT1320
2012.8.18 かぼちゃ・三田 1.75 8.29 1800 AT1320・
2012.8.12 モロヘイヤ・三田 ND 10.57 1800 AT1320・ハウス内
2012.8.12 つるむらさき・三田 2.13 9.98 1800 AT1320・ハウス内・蔵王町
2012.8.4 ズッキーニ・三田 ND 11.28 1800 AT1320・
2012.8.4 枝豆・三田 3.2 13.29 1800 AT1320・さやごと
2012.8.4 みょうが・三田 2.05 11.4 1800 AT1320・村田町
2012.7.29 赤シソ・三田 <4.8 約6 (6時間35分) AT1125・葉のみ
2012.7.29 とうもろこし・三田 <3.9 約6 (5時間20分) AT1125・可食部のみ・ハウス内
2012.7.26 福島県川俣町の湧水 3.65 2.41 36000(10時間) AT1320・特別測定
2012.7.22 ピーマン・三田 <4.1 9.29 1800 AT1320・露地・蔵王町
2012.7.22 トマト・三田 <2.27 8.48 1800 AT1320・ハウス内
2012.7.19 きゅうり・佐藤重雄 ND 11.36 1800 AT1320・栗原市・露地
2012.7.19 トマト・佐藤重雄 ND 9.31 1800 AT1320・栗原市・ハウス内
2012.7.14 梅・三田 <8.9 測定のみ 約6 (7時間20分) AT1125・種ごと
2012.7.11 きゅうり・三田 ND 8.34 1800 AT1320・蔵王町
2012.7.11 馬鈴薯・三田 ND 8.27 1800 AT1320・蔵王町
2012.7.5 きゅうり・三田 <2.9 約6 (8時間35分) AT1125・露地
2012.7.2 人参・三田 <3.57 約6 (6時間11分) AT1125・根部のみ・ハウス内
<三田さんの AT1125 に手製の遮蔽板を取り付け、測定精度が上がりました。(月日は不明。6月中は確か。)>
2012.6.25 秋保産・葉付き大根 ND 9.77 1800 AT1320
2012.6.24 梅・三田 13.6 出荷自粛 8.62 2069 AT1320・蔵王町
2012.6.24 梅(白加賀)・三田 6.22 5.99 3689 AT1320・村田町
2012.6.24 キャベツ・三田 ND 8.57 1800 AT1320
2012.6.21 カリフラワ・三田 ND 8.3 1800 AT1320
2012.不明 大根・三田 <5.26 約20 30767(8.5時間強) AT1125・露地
2012.6.19 いんげん・三田 <7.35 約20 37015(7.36時間強) AT1125・ハウス内
2012.6.16 サラダ菜・三田 <8.16 約20 31520(8.7時間強) AT1125・露地蔵王町
2012.6.12 ブロッコリ・三田 <4.05 約20 20912(5.8時間強) AT1125
2012.6.10 きぬさや・三田 <3.81 約20 17521(4.8時間強) AT1125
2012.6.9 かぶ・三田 <4.28 約20 28307(7.8時間強) AT1125・露地
2012.5.25 秋保産フキ <4.49 21.5 1800 AT1320・村田町
2012.5.25 秋保産セリ ND 12.9 1800 AT1320・村田町
2012.5.20 サラダ菜・三田 ND 11.91 1800 AT1320・ハウス内
2012.5.20 小松菜・三田 ND 13.66 1800 AT1320・露地
2012.5.21 アスパラガス・戸叶 ND 13.53 1800 AT1320・色麻町
<測定器 AT1320 の遮蔽を強化し、ソフトもバージョンアップして下限値が示されるようになりました。>
2012.5.10 大根・三田 <3.43 20 1800 AT1320・ハウス内
2012.5.10 かぶ・三田 <4.13 20 1800 AT1320・ハウス内
2012.不明 こごみ・三田 33.9 出荷せず 約20 24372(6.7時間強) AT1125・村田町
2012.不明 竹の子3回目・三田 <11.5 約20 17600(4.8時間強) AT1125・村田町
2012.不明 竹の子2回目・三田 <15 約20 26094(7.2時間強) AT1125・村田町
2012.不明 梅漬け・三田 27.5 約20 24124(6.7時間強) AT1125・村田町
<AT1125 は三田さん個人所有の測定器。測定時間を長くして精度を上げています。>
2012.4.29 竹の子・三田 <13.46 20 1800 AT1320・村田町
2012.4.29 うるい・三田 <3.11 20 1800 AT1320・村田町
2012.4.29 菜っぱ・三田 <4.28 20 1800 AT1320・蔵王町ハウス内
2012.4.29 ほうれん草・三田 <5.18 20 1800 AT1320・蔵王町ハウス内
2012.4.29 ふき・三田 <5.01 20 1800 AT1320・村田町
2012.4.22 葉大根・三田 <7.42 20 1800 AT1320・蔵王町ハウス内
2012.4.5 葉玉ねぎ・三田 <8.9 20 1800 AT1320
2012.4.5 坊主知らずネギ・三田 <3.96 20 1800 AT1320
2012.4.5 白菜の花(菜の花)・三田 <12.14 20 1800 AT1320
2012.2.15 わが家薪ストーブ灰 2420 測定のみ AT1125
2012.2.27 自然卵 <3.12 20 1800 AT1320
2012.2.17 青大豆・三田 ND 20 1800 AT1320
2012.2.17 黄大豆・三田 <3.88 20 1800 AT1320
2012.2.17 赤大豆・三田 ND 20 1800 AT1320
2012.2.17 ほうれん草・三田 <5.73 20 1800 AT1320・根付きで
2012.1.30 色麻町産大豆・戸叶 26.8 20 1800 AT1320
2012.1.20 栗原産アスパラ菜・佐藤重雄 <4.34 20 1800 AT1320
2012.1.20 秋保産じゃがいも ND 20 1800 AT1320
2012.1.4 色麻町産人参・戸叶 <4.18 20 1800 AT1320
2012.1.4 加美町産干しいも <6.15 20 1800 AT1320
2011.12.13 松島産のり ND 20 1800 AT1320
2011.12.9 岩出山産竹の子の水煮 88.4 販売自粛 20 1800 AT1320・のびっ子クラブ製
2011.11.22 大根・三田 6.32 20 1800 AT1320
2011.11.22 かぶ・三田 5.85 20 1800 AT1320
2011.11.22 さつま芋・三田 ND 20 1800 AT1320
2011.11.7 玉ねぎ・三田 ND 20 1800 AT1320・薄皮むいて
2011.11.7 かぼちゃ・三田 ND 20 1800 AT1320・種を除いて
三田さんの畑。深耕による放射線減衰法
2012.10 放射線を低減するために深耕している動画は下記です。刃が深く入るようトラクタのローターカバーをはずしてあります。
この作業をすることで300Bq/kg程度あったセシウムを100Bq/kg程度まで低減できているそうです。
「ゆるマクロビオティック講座」でお話してきちゃいました。
11/1になんとあろうことか、とある講座で講師として話をしてきてしまいました。講座とは宮城野区にある市民センターの、 市民が企画するマクロビオティック講座で、マクロビとはなんたるかの話のあと、実際に玄米を炊き、車麩のフライと切干大根の煮物をつくるという段取り。 自然食品店の看板の手前、マクロビを知らないとは申せません。ただ当方自慢じゃありませんが正式なマクロビの講習を受けた事もなく、 ましてや料理を習ったこともありません。単に門前の小僧程度の知識があるのみ。そこで料理実技をうちのお客さんでもある、元マクロビレストランの オーナーシェフにお願いし、私が前振りで話をするということでご了解をいただきました。さらに講座タイトルに「ゆる」をつけて「ゆるマクロビオティック講座」 としていただき、少しはお茶を濁せるよう手を打ちました。とはいえ仮にも人前で話をするからにはそうそういい加減なことも申せません。2晩朝までかかって 調べ物をし模造紙5枚にまとめ上げました。
さて当日、ふたを開けてみれば結構玄米を食べたことのある方ばかり。小さなお子さんがおられる若いママさん対象だったのですが、ご実家では玄米を食べてたとか ご主人がいらっしゃらないときは玄米にするなど実に頼もしい。また参加料が500円(託児は別に300円)という安さも歓迎されたのでしょう。 受講された方にきいてみますと、町なかのマクロビ教室なら受講料だけで4000円とか普通にするし、さらに子供を預けたりすることを考えたらとても参加できなかったと。 つまり参加された方の意識は相当程度高かったということです。それに対してこちらは「なんたるか」に重きを置いて喋ったので、聴きたかったこととはズレがあったのでしょう、 さらりと聞き流されてしまいました。その分実技に移ったとたん目が輝いてました。野菜の切り方から始まって、煮つけ方、味の付け方など、さすがは元レストランの オーナーシェフ。やはりお願いして大正解でした。
今回まず驚いたのは、お若い方でも玄米に対する抵抗感が少ないということ。昔はお子さんがアトピーだからとかいうのが玄米食を始める一番の理由だったのですが、 今回お見受けした限り特にそんなふうには思えませんでした。ちゃんとおききした訳じゃないんで正確には分かりませんが。
理由はどうあれマクロビや玄米食に興味を持たれる(特にお若い)方がいらっしゃるということはとてもよい事だと思います。 このさき年を経るに従って家族が直面する体調不良を克服するために、食養生の考え方は必ず役立つと信じるからです。
牛と餌と胃袋と(牛は草を消化できない!?)
○粗飼料=牧草、干し草、サイレージ(発酵させた干し草)
○濃厚飼料=トモウロコシ、大麦、小麦などの穀物類や、フスマ、米ヌカなど
ほとんどの酪農家が牛舎で牛を飼っている中、たいへん珍しい放牧で牛を飼っている方の牧場を、こないだ9/7に見学してきました。
放牧牛と舎飼いの牛の一番の違い、それは餌です。放牧牛の餌(ほぼすべて)が粗飼料なのに対し、 舎飼いの多くでは濃厚飼料と粗飼料の両方与えます。 濃厚飼料を与えると乳牛ならば乳量が倍増し、乳質も乳脂肪分が高くなるからです。 またサシが入った肉牛を育てるためにも、濃厚飼料は欠かせません。 牛にとって濃厚飼料は大変なごちそうであるらしく、それこそ目の色を変えて夢中になって食べるんだそうです。 だからといってこればかり食べさせるとエネルギの過剰摂取つまりメタボ状態になり、さまざまな病気の遠因となります。
ここで牛の胃袋の話を少々。哺乳類は(牛も)もともと草を消化できないんだそうです。セルロースの分解酵素を持ってないためなんです。 なのになぜ牛は草を食べるかと言えば、牛の4つの胃のうちの第一胃(ルーメン=成牛では150Lにも達する)に棲む微生物の中にセルロースの 分解酵素を持つものがいて、その微生物が分解してくれたものを吸収して栄養にすることができるからなんだそうで。 さらにそのルーメン微生物群が死ねば、それら菌体を構成していたタンパク質もまたアミノ酸として分解され吸収されてしまいます。 一粒で二度おいしいグリコみたいな(古過ぎ!)牛にとっては願ってもない共生関係なのですが、これは粗飼料が供給されていればこそ。 濃厚飼料が多くなって粗飼料の割合が減るとルーメンは異常発酵し、種々の障害が起きてしまうのだそうです。
「目の色を変え夢中になって食べたくなるものが自身にとっては有害」なぜこのようなことになったのかと考えれば、 ここに至る長い時間をかけた進化の歴史の中で、こんな風に穀物がふんだんに食べられる状況はありえなかったからなのでしょう。 牛の遺伝子にとってまったくの想定外であったわけです。食べるべきものを食べるのが一番よいのであって、牛にとってのそれは草だということ。
牛に濃厚飼料を与える理由は、もし乳脂肪が低ければミルクは引き取りを拒否されたり安くなったりするからで、 それによって起きる牛の病気は必要悪・職業病のように語られます。実際獣医さんのブログなど見れば、 濃厚飼料多投などが原因でおきる牛の第四胃変位整復手術(略して四変=よんぺん)は、ほとんどの診療所で毎日のように行われているとのこと。 つまりは構造的な問題なのであって、酪農家一人二人逆らってもどうなるものでもないのも現実です。 だからこそあの山地酪農の偉大さ貴重さが知れるのです。
夏も冬も完全放牧で乳牛を飼う山地酪農、見学してきました。
2013.9.21またとんでもない(これは賞賛の意味です)方とお知り合いになっちゃいました。 吉塚公雄さん。岩手県下閉伊郡田野畑村で、15ヘクタールほどの牧山に一年中放牧で乳牛を飼っておられます。 これがまあ、ドラマにでもなりそうな8人家族なのです。まずは「山地酪農」のことからお話します。
山地酪農とは、東北大学で植物生態学を修めた楢原恭爾博士が提唱した酪農法(i)。
その要諦は、「日本の国土は七割が農業に適さぬ山地である。しかしこの山地に生える草を餌にして牛を飼えば、無理なく牛乳が自給できる。」というもの。 この講義を東京農大で聴いた吉塚さんは、生涯をかけるのはこれだと思い、出身地千葉から田野畑に入植。 同村出身の先輩熊谷隆幸さんと共にそれから約40年、牛乳を生産されておられます。
(i)不勉強な私は、ポラン経由で木次から入る同名の牛乳を扱いながら、単なる商品名と勘違いしてました。 同農法で牛乳を生産しているところは、全国に十箇所ほどでしょうか、あるようです。
私が行きましたのは9月7日(土)。この日は年に一回の消費者交流会の日。会場は熊谷さんの牧山。 25ヘクタールほどの牧山に各地から集まった数十名ほどの参加者が食べたり飲んだりしています。 牧山は平らなところもほとんどないごく普通の山。 そこに芝が一面に生え、それが刈り込んだように見えます。 牛は数十頭でしょうか、勝手に群れて芝を食んでいます。 試しに近づいてみても逃げもしません。 穏やかな目つきでバリバリと芝を食む音だけが大きく聞こえます。 牛たちは夕方、搾乳してもらいに『自発的に』牛舎に向かいます。 そして搾乳が終わるとまた山に戻り夜を過ごします。
乳牛がミルクを出すのは当たり前のように思われますが、牛だって妊娠して初めてミルクが出ます。 群れの中に一頭だけ種牛がいて、交尾は牛まかせ(ii)。 牛は受精後10ヶ月で出産しますが、どの牛も自然分娩。自力で仔牛を生みます(iii)。 仔牛は、しばらくの間母牛について歩いて母乳をもらいます(iv)。 牛はみな健康で病気にかかることもなく、従って薬も使う必要もありません。 ただたまにケガをする牛はいるそうで、その時は手当てはするそうですが。 また牛は意外に寒さには強く、冬には雪の中で眠るのだそうです。 寿命も長く、通常6~7年で廃牛となりますが、吉塚さんのは16歳の牛もいるとか。
(ii)舎飼いの牛は交尾はせず人工授精です。
(iii)出産も人が手を加えなければ産めず、
(iv)仔牛は生まれるとすぐ母牛から離され、母乳は飲ませてはもらえません。
交流会のあと、私は吉塚さんのお宅に泊めてもらいました。 吉塚さんには奥さんと7人のお子さんがおられ、うち5人が男子(30~12歳)。 お嫁に行ったご長女と、北海道にチーズ作りの研修に行ってる三男さん以外の全員、 家業に分担があり、私のような部外者がいようが交流会だろうが関係なく、 きちんと仕事するのです。12歳の五男さんも例外なくです。 牛は仔牛も合わせて40頭以上いますが、全頭に名前があります。 家族全員、すべての牛の個体識別ができています(v)。 しかも牛それぞれの性質から癖まで、例えば大人しいとか足癖が悪いとか、 さらにはどの牛の子だからこうだという牛の系統までも把握してるのです!
(v)もちろん名札なんか付いてる訳ないですからね。
夕方の搾乳を見学しました。搾乳だけは牛舎です。10頭で満杯。そこに①乳の張った順に牛を追いかけて入れる。 ②牛が動かないように固定する。③尻尾を固定する。④足癖の悪い牛は足を上げないようにする。⑤干草を与える。 ⑥おっぱいを綺麗に拭く。⑦手でちょっとだけ搾る。⑧バケットミルカーをつけ搾る。⑨バケットミルカーをはずす。 ⑩ミルクを冷却タンクに移す。⑪ミルカーを洗う。⑫牛の拘束をさっきとは逆順で解く。⑬牛を追い出す。 という①~⑬の一連の作業を全部の牛に行います。 これらを家族全員で行うのですが、途中から参加した人も今どの牛に何をしなくちゃならないかを一瞬で見抜き即座に行動します。 全員が全部の牛の状況を見ていて、その中ですべきことをする。 なにかスポーツのチームプレイ(例えば全日本のバレーボールの試合)を見てるような、そんな無駄のない美しい動きなのです。 これが全部の牛に終えるには夕方5時ごろから夜8時過ぎまでかかります。
そして夕食。 自分の仕事が終わった人から順に食べるのですが、全員が全員食べる前に 「お父さん、お母さん、○○さん、●●ちゃん・・・、△△ちゃん、ありがとうございます。いただきます」 と言って食べるのです。これには参りました。お父さん、あなたは偉い。